23、
月みれば ちぢに物こそかなしけれ わが身ひとつの 秋にはあらねど
大江千里
【歌意】 月を見ていると、さまざまに悲しい思いがつのってくる。決して私一人を悲しませるためにやってきた秋ではないのだけれど???。
【作者】 (おおえのちさと) 9世紀後半から10世紀初頭にかけての人。文章博士。家集『大江千里集』がある。
【説明】 月を眺めて物思いにふける孤独な姿を詠じた歌。秋を悲哀の季節としてとらえる心情は、平安時代初頭、漢詩文の影響を受けて一般化した。