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朝ぼらけ 有明の月と見るまでに 吉野の里に降れる白雪
坂上是則
【歌意】 ほのぼのと夜が白んできた。ところが、有明の月が照っているのかと見間違うほどに、この吉野の里に白雪が降り積もっていた。
【作者】 (さかのうえのこれのり) 9世紀末から10世紀前半にかけての人で、田村麻呂の子孫。三十六歌仙の一人。
【説明】 作者が大和の国に行った時に、雪が降るのを見て詠んだ歌。「朝ぼらけ」は「朝びらき(朝開。朝、舟で港を出て行くこと)」が転化したという。