66、
もろともに あはれと思へ山桜 花よりほかに 知る人もなし
前大僧正行尊
【歌意】 私がおまえを懐かしむように?おまえも私を懐かしんでおくれ、山桜よ。おまえの他にお互いを分かり合える者はいないのだから。
【作者】 (さきのだいそうじょうぎょうそん) 1055~1135年 参議?源基平(みなもとのもとひら)の子。12歳で三井寺に入り、後に天台座主大僧正となった。
【説明】 大和国(奈良県)吉野郡堵十津川の東にある大峰山で修行していた作者が、思いがけず桜の花を見て詠んだ歌。ひっそりと咲く山桜に、孤独に堪えて修行するわが身を重ね合わせ、共感に浸った。