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世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも鹿ぞ鳴くなる
皇太后宮大夫俊成
【歌意】 この世の中には?辛さから逃れる道はないのだな。思いつめて分け入ってきたこの山奥でも、悲しそうに鹿が鳴いているではないか。
【作者】 (こうたいごうぐうのだいぶとしなり) 1114~1204年 藤原俊成。定家の父。勅撰集『千載集』の撰者。
【説明】 「おもひ入る」は「思ひ入る」と「山に入る」の掛詞。現世から容易に逃れることのできない憂愁を詠んだ歌。