エッセイストのたかのてるこさんは旅先のモロッコで、イスラム教のラマダン(断食月)に出くわし、断食に挑戦したことがある。現地の人たちに励まされながら。そのときの感想である。「おめでたい雰囲気で、なんか日本のお正月みたいだなぁ」。
随笔作家高野先生在旅游目的地摩洛哥偶然碰上了伊斯兰教的斋月,并尝试挑战了绝食。在此过程中,当地的人们不断鼓励他。“一片欢乐的气氛,就像是日本的正月”,这就是他当时的感受。
日の出から日の入りまで水すら口にできないのはつらい。しかし日没後の食卓では皆がとびっきりの笑顔をみせる。「断食をした者同士の気持ちをひとつにしてくれる」と、著書『モロッコで断食(ラマダーン)』にある。貧しくて十分に食べられない人のことを理解する意味もあるという。
从日出到日落,滴水不进是件非常痛苦的事情。但是日落后,当大家围坐在餐桌旁时,却个个喜笑颜开。“我感觉参与了绝食的伙伴们的心都凝聚在了一起”,他在著作《在摩洛哥绝食》如此写道。据说,绝食也有亲身感受那些因贫穷忍饥挨饿的人们的现状的含义。
そんな宗教行事であるが、近年は陰惨な事件とともに耳にすることが増えた。アフガニスタンの首都カブールでおととい起きたテロ事件も断食月の始まりを狙ったのか。
就是这样一种宗教仪式,近年来与悲惨的事件联系在一起的情况越来越多。前天,阿富汗首都喀布尔发生的恐怖事件也是对准斋月的开启吗?
断食月中に善行を積めば天国に行ける可能性が高まると言われるそうだが、どこが善行なのか。自爆とみられる爆発で少なくとも90人が命を落とした。大使館や官庁が集まる中心部での蛮行である。
按照伊斯兰教徒的观点,如果在斋月做好事,那么就会提高去天国的可能性,但这无论如何也谈不上善行吧。在这次被认为是自杀式肉弹的爆炸中,至少有90人殒命。这是发生在大使馆和政府机构聚集的城市中心的暴行。
英マンチェスターのコンサート会場でのテロも記憶に新しい。先進国の事件に目を奪われがちだが、中東を中心にそれ以降もテロは相次いでいる。
在英国曼彻斯特音乐会场发生的恐怖袭击还令人记忆犹新。在发达国家爆发恐怖袭击吸引了绝大多数的关注目光,但以中东为中心的地区在此之后也是恐怖袭击不断。
イスラム社会に詳しい内藤正典・同志社大教授の著書によれば、イスラム教徒らしさは「人と人との間に線を引かないこと」にあるという。だとすれば相次ぐテロは、そこからの逸脱であろう。亀裂を入れ、人びとを引き裂く。テロの病に立ち向かうための正しい治療を世界は施しているだろうか。
根据熟知伊斯兰社会的同志社会大学教授内藤正典先生在其著作中的观点,一个正统的伊斯兰教徒“不会歧视任何人。”如果照此观点来看,不断发生的恐怖袭击完全脱离了教义。他们破坏人们的团结,并导致分裂仇视。面对这恐怖主义顽疾,世界是否正在对症下药呢?