人の話を集中しながら聞くと、ずいぶん疲れます。聞き手は話し手の何倍も疲れるのが普通です。ですから、疲れているときに、人の話を聞かねばならないときほど大儀なものはありません。仕事から帰ってホッとひと息つきたいときに、子どもや奥さんから話しかけられると、身を入れて聞けなくなってしまいます。いいかげんな返事をしたり、相手がまだ話しているのに勝手に結論づけて、話し相手の機嫌をそこねたことは、( 1 )一度や二度はおありでしょう。これなどまだいいほうで、疲れてるからあとにしてくれと、はじめから聞く耳をもたないという態度をとること( 2 )あります。こんな状況が重なってきたときに、夫婦関係や親子関係がこじれて問題が起こるのです。
プロのカウンセラーが相談者の話を聞く時間は、一回50分から①時間です。心のなかに関する話は、聞くほうも話すほうも、他人同士ならこれが限度です。ですから、カウンセリングというのは、一週間に一度、約①時間で行われるのが一般的で、相談者の問題によっては、これを一年、二年と続けるのです。ずいぶん長時間のようですが、カウンセリングを受けても人間はそんなに早くは( 3 )。こうしたことは、長年の経験からわかったことです。
カウンセラーは、一日に8人から10人の相談者に会っています。不思議なことですが、相手が変わるとまた集中して1時間は聞けるのです。一人1時間として、10人では10時間。10時間( 4 )、新幹線の東京大阪間を二往復する時間です。一往復だけ乗っているだけでも相当疲れますよね。これが二往復ですから、カウンセリングというのはかなり体力のいる仕事だとわかるでしょう。少し横道にそれましたが、人の話を聞くのは疲れることだと( 5 )していてください。
(東山紘久「プロカウンセラーの聞く技術」による)
1、( 1 )の中に入れる言葉として正しいのはどれか。
①なんでも
②誰でも
③いつでも
④誰と
2、( 5 )の中に入れる言葉として正しいのはどれか。
①承認
②認識
③納得
④区分
3、( 3 )の中に入れる言葉として正しいのはどれか。
①疲れないからです
②あきらめないからです
③変われないからです
④忘れないからです
4、( 2 )の中に入れる言葉として正しいのはどれか。
①だけ
②なんて
③ほど
④だって
5、( 4 )の中に入れる言葉として正しいのはどれか。
①というと
②といっても
③となると
④となっても