安楽死は、植物状態になった患者の生命維持装置を外すなどの消極的安楽死と、患者を苦痛から解放するため薬物を投与するなどの積極的方法による積極的安楽死とに大別されてきた。日本では一般に消極的安楽死を「尊厳死」と呼び、積極的安楽死を「安楽死」と呼ぶ傾向にあるが、日本医師会の生命倫理懇談会がまとめた「末期医療に臨む医師の在り方」についての報告書で、回復の見込みがない患者の延命治療を本人の希望によぅて打ち切る「尊厳死」は認めるが、「安楽死」は原則的に認めないとしている。
「（ 1 ）」に関係しては、東海大学医学部付属病院で1991年、同院医師が末期がんに苦しむ患者に、家族の要請により、医師が塩化カリウム製剤などを注射して心停止させた事件がある。そのとき、横浜地裁は1995年3月、殺人罪に問われた医師に有罪判決を言い渡し、積極的安楽死が許容される条件として、
（1）耐え難い肉体的苦痛がある。
（2）死が避けられず、その死期が迫っている。
（3）肉体的苦痛を除去・緩和するために方法を尽くし、他に代替手段がない。
（4）生命の短縮を承諾する患者の明示の意思表示がある。
の四点を挙げた。
最近の新聞の世論調査によると、国民の約60％が安楽死や尊厳死を許容するとしており、、日本でも尊厳死法を求める議論がこれまで以上に盛んになりそうだ。
1、（ 1 ）の中に入るものとして、最も適切なのはどれか。
①自然死
②尊厳死
③安楽死
④自殺援助
2、日本では尊厳死と安楽死はどのように区別されているか。
①患者本人の生命の短縮を承諾する意思表示があるのが尊厳死、ないのが安楽死。
②自分らしい生き方をして死ぬのが尊厳死、できるだけ苦痛の少ない方法で死ぬのが安楽死。
③延命治療を中止して死ぬに任せるのが尊厳死、薬物投与などの積極的方法によって死なせるのが安楽死。
④死が避けられないケースの患者を死に至らせるのが尊厳死、回復の可能性のある患者を死に至らせるのが安楽死。
