「自然」と聞くと、まず君は、海や山や、そこに生息する様々な動植物のことを思うのではないだろうか。もちろん、それはその通りだ。生物としての人間は、そういう自然環境に取り巻かれて生きている。( ア )。
だけど、目に見えない自然もたま存在する。( イ )。何だと思う?それは、君の体のことだ。君は、自然の体が( ① )だということに気が付いていたかい。君は、今まで、自分の体は自分のものだ。自分の意志でどうにでもなるものだと思っていなかったかい。だけど、ちょっと考えてごらん。( ウ )。君の心臓が今動いているのは、君の意志かい?呼吸も消化も排泄も全然君の意志なんかじゃない。君の体がそうであるように、君の意志を完全に超えて動いているもの、それが自然、或いは自然生態系と言われるものなのさ。( エ )。
それなのに人間は、この当たり前のことを忘れ、自然の利用とか開発とかいう名の下で、自然を人間の力で支配しようとし、その結果、自然破壊をもたらしたんだ。この人間中心主義こそ、近代科学の最大の誤謬であったと言えないだろうか。
1、( ① )に入るものとして、最も適当なのはどれか。
①人工物
②自然物
③天然物
④創造物
2、「いや、目に見えてはいるのだけど、近すぎるから忘れてしまう自然のことだ」という一文は、文中のア~エのどこに入るか。
①ア
②イ
③ウ
④エ
3、筆者がこの文章で一番言いたいことは何か。
①近代科学は、自然を人間がコントロール可能な対象と考え、そのために自然の法則を解明し、自然の利用法を探求するものである。
②自然は本来、人間の意志でコントロールできないものなのに、それを支配しようとすることから、環境破壊が生まれた。
③人の体が自然そのものであるように、人もまた自然とともに、自然の中で暮らしていくようにしたほうがいい。
④多くの人々は、自分の体が自分の意志を越えた自然そのものなのに、それに気づかないで暮らしている。