以下は社会保障関係費の国民負担率を示した表であるが、福祉国家を目指しているスウェーデン<Sweden>などの北欧諸国と、自由主義の米国・日本、その中間にある西欧諸国の違いが浮き上がるおもしろい統計である。
スウェーデン 73.2%(1996)
フランス 64.1%(1996)
ドイツ 56.4%(1996)
イギリス 49.2%(1996)
アメリカ 36.8%(1996)
日本 36.9%(2000)
特に北欧諸国と米日は対極にある。国民負担率についてみると、米日はスウェーデンの二分の一である。それは、北欧諸国では国民は国家による福祉水準の維持を前提にした高福祉・高負担を選択しているが、GDPが世界で一位、二位である米日では福祉は自助努力が原則で、国民は低負担の道を選択しているからである。どの道を選択するかは各国の国民の選択如何であるが、そのためにも私たちは正確な資料やデータを知っておく必要がある。例えば、日本では「福祉は怠け者をつくる」「経済が活力を失う」といった議論が存在するが、それには根拠がないからだ。なぜなら、一人あたりのGDPを比較したとき、デンマークや北欧などの福祉国家の方が米日より高いからである。この「自由と競争」を原理とする社会よりも、生活が保障されている福祉社会の方が、一人一人の労働生産性が高いというのは、日本人の多くには以外な事実であるかもしれない。
1、「日本では…それには根拠がない」とあるが、どうしてそういえるのか。
①アメリカや日本の方がGDPが大きいから
②一人あたりのGDPを見ると、北欧諸国の方が大きいから
③北欧の方が福祉が行き届き、生活が保障されているから
④米日の方が社会保障関係費の国民負担率が低いから
2、筆者の考え方と一致するものはどれか。
①日本も北欧諸国と同じ高福祉・高負担の道を選択するべきだ。
②「福祉は自助努力で」とする制度の方が、経済活力を高めることになる。
③「自由と競争」を原理とする社会は福祉社会よりも遅れた社会である。
④国民は正確な知識やデータを踏まえて、国の在り方を考えるべきだ。