生き物は、人類がこの世に登場したときには、すべて地球上に存在していました。私たちが作ったわけではなく、すでにあったのです。つまり、一番古くから仲間として付き合っているのですから、本来なら生き物のことが一番よくわかっているはずです。
それなのに、ここへ来て、生命の危機、生態系の危機という状況になったのはなぜでしょうか。「わかっているはずです」というときの「わかる」と、21世紀という現代社会の中で言う「わかる」とが、ずれているからではないでしょうか。
とはいえ、近年、生物の研究が急速に進んでいることも確かです。その中でも地球上の生物すべてが細胞でできており、そこには必ずDNAがあるという共通性がわかったことは、他に比べようもないほど生き物への理解を深めました。その結果、今では、生き物はみな仲間であり、人間もその一つだということが普遍性をもつ知識となり、西洋文化の持つあまりにも人間中心の考え方に対して、新しい人間観を作り出しました。日本には古くからこのような考え方があったので、新しい人間観は、人間も古来のそれと重なり合います。いずれにしても、DNAが明らかにした「わかる」は、私の日常感覚と一致するので、今の私はバクテリアまで含めた( )という知識に立つ社会を次の世代に渡したいと思っています。
1、「「わかっているはずです」というときの…ずれているからではないでしょうか」とあるが、これは何を述べているのか。
①人間は生き物について、長い間研究を続け、生命の神秘を解明してきたこと。
②人間と生物は同じ地球上に生きながら、対立し敵対する関係になっていること。
③生き物について、現代科学でわかっていることは、実際はまだとても少ないこと。
④人間は他の生き物との共存を忘れ、あまりにも人間中心主義に陥っていたこと。
2、( )に入るものとして、最も適当なのはどれか。
①人間は万物の霊長である。
②全ての生き物は仲間である。
③全ての生き物は神によって作られた。
④全ての生き物の命を大切にしよう。