今年の春、僕は母と大喧嘩をしてテレビ、ゲーム機、携帯電話を壊した。喧嘩の原因は僕の生活態度だった。僕は学校から帰宅するとテレビの電源を入れ、おやつを食べて、ゲームをする。勉強は寝る直前。なぜなら学校で友達と話をするので、携帯のネットを利用してゲームのことを調べたり、ゲームのレベルを上げたり、好きなアニメを観たりしなければ仲間との会話についていけないからだ。それで母から禁止されていたネットを長く使ってしまい、バレてこっぴどく叱られた。本当は直に「ごめんなさ」と素直に謝れば良かったのだが、その時は閲覧履歴を隠すために思わず携帯電話を壊した。「もう使わないから」と断言し、友達の会話を心配した。ところが母は「これを買うのに母さんはどれだけ苦労したか分かって言ってるの」と言った。大きな失敗だった。
僕は母がいくつも病気を抱えているのを思い出した。飲んでいる薬は一日9種類以上でどれも医者から完治しないと言われている。それでも母はどんなに体調が悪くても仕事を休まない。足の爪の手術をした時も、肋骨を骨折した時も、仕事と家事を両立させていた。それはきっと僕が友達から「あいつの家は母子家庭だから貧乏だ」と言われないために頑張ってくれているのだと思う。僕は何て馬鹿なことをしてしまったのかと気づいて後悔した。癌を患いながら治療より出産を優先させて産んでくれた母。僕はそんな母を助けていかなければいけないのに。僕は涙を流して「ごめんなさい」と言った。母は「今まで知り合った多くの人達がお前を応援している。そのことを忘れてはいけないよ。正しい選択をしなさい」と言った。そうだ、僕は周囲の人達に支えられて今がある。もっと皆に感謝し、人のために何ができるか考えて、行動していくことが恩返しなのだと気づいた。