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「子が鏡」
日期:2017-09-06 10:57  点击:547
収穫祭を兼ねてお盆に里帰りしたら、すぐにお墓参りをしようと子が言い出した。車の中でお盆の意味合いを説明してやっていたのを子供なりに理解したためと思い、早速母を伴って出かけることにした。お墓に手を合わせた後、墓石に水をかけるのは子、そのあとを拭き取るのは親という役回りになった。母は生花の準備をしている。ところが子は隣りの墓石にまで水をかけだした。その都度「ばあばのお友達の分まできれいにしましょ」と繰り返している。子供なりの理屈だ。が、じいじが出てこないのは子に記憶がないためだ。ここは妙な説得をするより従うことにした。幾つ水がかけられ幾つ拭いて回っただろう。終えた墓石に向かって「ばあばとずっと仲良くしてください」と言い手を合わせて いる。
そして帰宅。日が少し傾きかけている。早速庭の一角にある菜園の収穫に入る。農家出身のばあばが亡くなる直前まで丹精込めて野菜作りに励んでいた菜園だが、その後両親が引き継ぎ、この時期にはトマト、ナス、キュウリが育っている。ところが子はナスとキュウリのところに行き、大きいのを選んで摘み出した。「何で」と尋ねると「大きい方がばあばとじいじが一緒に乗って来れるでしょう」と。ここでじいじが出てきた。さらに「お友達も来れるように沢山お馬さんをこしらえましょう」とも。文句の言い用がない。よくこれだけおしゃまに育ったものと思い夫に目をやると同じ表情を向けてくる。
薄暗くなると迎え火の後ろに馬を置く。手を合わせしきりに祈りを捧げる子。その後ろで母に収穫時の話をすると「まあっ」と言い、むしろ頼もしそうな表情を見せる。賢い子とでも思ったのだろうか、同じことでも受け取り方は世代により異なるようだ。子は親の鏡と言うが、うちの場合子の方が鏡だな、と思う。多分、夫もそう思っているのではないか。

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