▼彼岸花の燃え立つ秋である。作家新美南吉(にいみなんきち)の故郷、愛知県半田市では矢勝(やかち)川の両岸を300万本が紅に染め上げる。代表作『ごんぎつね』で南吉が「赤い布(きれ)のよう」と書いた風景を再現しようと住民らが植えてきた
▼深秋是石蒜(Lycoris radiata)花火焰般盛开的季节,在作家新美南吉的故乡爱知县半田市,只见300万株石蒜染红了矢胜川两岸。这些石蒜都是当地居民栽种的,为的是再现南吉的代表作《金狐》中所描述的“宛若红布覆盖”的场景。
▼小学校の教室で「ごん」を読んだ日の衝撃は忘れられない。火縄銃で撃った後に、ごんのやさしさに気づく兵十(ひょうじゅう)。これほど切ない物語を書いたのはどんな人物なのだろう
▼在小学的教室里阅读“金”,所感受的震惊难以忘怀。当用火绳枪射击之后,兵十发现了金的善良。撰写出故事如此沉重的作者究竟是什么样的人呢?
▼「文学に満々の自信を持ちながら、身体が弱く生活力もないという劣等感にさいなまれました」と半田市にある新美南吉記念館の遠山光嗣(こうじ)学芸員(45)。東京外国語学校で軍事教練の単位を落として教員免許を取り損ねる。出版社で働く夢もかなわない。卒業の1936(昭和11)年は深刻な不況だった
▼“对于文学充满自信的他却因为体弱且缺乏生活能力而深感矮人一头”,位于半田市的新美南吉纪念馆工作人员远山光嗣(45岁)如是说。由于在东京外国语学校求学期间未能通过军事教练科目的考核,因此没能够获得教师资格证,也未能实现到出版社工作的梦想。毕业的1936(昭和11)年正是经济严重不景气的年头。
▼病んで故郷に帰るが、断られ続けた末に入った飼料会社で、不本意にもヒヨコの飼育を命じられる。「また今日も己を探す」「はみ出した人間である。自分は」と日記で嘆いた
▼因病回到故乡后的他屡遭坎坷,最后进了一家饲料公司。没成想让他去干自己并不想干的饲养小鸡的工作。满心的不如意只能借日记释怀。“今天我还要再一次探究我自己”“我呀,就是个被淘汰的人”
▼恋も実らない。相思相愛の女性に縁談が持ち込まれ、泣いて身を引いた。「ぼくはやぶれかぶれの無茶苦茶(むちゃくちゃ)だ やぼったくれの昨日と今日だ 雨だ雨だ」と親友に手紙を送った
▼恋爱也最终无果。相思相恋的女孩走入了别人的婚姻,自己只能含泪退出。他在给好友的信中写道,“我就是个没用的窝囊废。庸庸碌碌地一天又一天。除了阴雨还是阴雨”
▼『牛をつないだ椿(つばき)の木』『おぢいさんのランプ』『花のき村と盗人たち』。童話のいくつかを読み直した。この世は苦難の連続だが、誠実に正直に生きよう。報われなくても孤独に屈してはいけない――。そんな信念が作品を貫く。苦難に満ちた29年間の生涯を思い、彼岸花の咲く堤を歩いた。
▼《拴牛的茶树》《大叔的提灯》《花树村和盗人》。我又重读了他创作的一册册童话书籍。尽管人世间苦难不断,但也要老老实实认认真真地活下去。即使得不到回报也不能向孤独低头。如此信念贯穿于全部作品。漫步在石蒜花盛开的堤岸边,我不由地回想起他那充满苦难的29年生涯。