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のんきな旅人
日期:2017-12-26 19:03  点击:335
 むかしむかし、あるところに、とてものんきな人がいました。
 ある日、その人が一人で旅に出かけましたが、歩いていくうちに日がくれてきたので、一件の宿屋を見つけて、
「こんばんは、とめておくれよ」
と、入っていいました。
「あいにく、空いた部屋がありません。ほかの方と二人一緒でもいいですか?」
「しかたがない、それでもいいよ」
 宿屋の主人に案内されて、入った部屋にはベッドが二つあり、先にきていたお客は、もうねむっていました。
 顔中がまっ黒で、ヒゲがモジャモジャです。
「あははは。ひげだらけで、まるでクマみたいだ」
 のんき屋はねている客を見て笑うと、宿屋の主人に、
「明日の朝は、七時におこしておくれ」
と、いって、ベッドに入りました。
 夜もふけたころ、イタズラ好きの宿の主人が、そっと部屋に入ってきました。
「人の顔を、ひげだらけのクマだなんていう人は、自分もひげだらけになるがいい」
 主人は炭で、のんき屋さんの顔をまっ黒にぬりました。
 さてあくる朝、宿の主人が部屋の外からのんき屋さんをよびました。
「七時です。お客さん、おきてください」
 目をさましたのんき屋さんは、ベッドをおりると、服をきがえて部屋のすみのカガミを見ました。
 するとそこには、まっ黒なひげだらけの顔がうつっています。
 それが自分の顔だとは気がつかないのんき屋さんは、
「あれ?、こいつはだれだろうか? ???ああ、わかったぞ。宿屋の主人は、わしを起こすのをまちがえて、ひげさんの方を起こしたんだ。じゃあ、わしはまだねむっていていいんだ」
 そうつぶやいて服をぬぐと、またベッドにもぐりこんでねてしまいました。

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