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トウモロコシドロボウ
日期:2017-12-26 19:14  点击:326
 むかしむかし、メキシコのある村に、お金持のお百姓がいました。
 お百姓は広いトウモロコシ畑を持っていて、毎年たくさんの卜ウモロコシをとり入れました。
 ところがある年、トウモ口コシ畑にドロボウが入ったのです。
 
 さて、このお百姓には、三人の息子がおりました。
 一番上の息子は、なまけ者です。
 二番目の息子は、いばり屋で、いつも人をバカにしていました。
 三番目の息子は、どういう子どもか、よくわかりませんでした。
 お百姓は、三人の息子を呼んで、
「誰でもいい。ドロボウを見つけてくれ。見つけた者に、わしの財産(ざいさん)をゆずろう」
と、言いました。
 まず、一番上の息子が畑ヘ行きました。
 息子はごちそうをつめたカゴを持って、鉄砲(てっぽう)を肩にかけて、プラリプラリとあくびをしながら出かけました。
 庭の井戸(いど)まで来ると、
「ちょっとぐらい、眠っても大丈夫だろう」
と、言って、腰をおろしました。
 そしてすぐにいびきをかいて、眠ってしまいましたが、やがて、
「わたしを、トウモロコシ畑ヘ連れて行ってください。ドロボウを捕まえるお手伝いをします」
と、言う、カエルの声で目を覚ましました。
「何だと。この汚らしい、ろくでなしめ。お前なんかに、ドロボウが捕まるものか」
と、言って、息子はカエルを井戸の中へ投げ込んでしまいました。
 それから、トウモロコシ畑へ出かけました。
 けれどもまた、居眠りを始めました。
 夜が明けて目が覚めた時には、トウモロコシはもう盗まれていました。
 
 今度は、二番目の息子の番です。
 二番目の息子は、豆をつめたカゴとヒョウタンを持って出かけました。
 井戸まで来てヒョウタンに水をくもうとした時、カエルが近づいて来て言いました。
「わたしを、トウモロコシ畑ヘ連れて行ってください。ドロボウを捕まえるお手伝いをしますから」
 息子はビックリして、ヒョウタンを落としそうになりました。
「おい、黙れ。おどかすな」
と、言って、カエルにかまわず行ってしまいました。
 そしてトウモロコシ畑に座り込んで、ドロボウを待ちました。
 間もなく、鳥の羽ばたきが聞こえました。
 尾の長い、きれいな鳥が、月のかがやく空に現れたかと思うと、スーッとトウモロコシ畑に降りて来ました。
 これこそ、ドロボウに違いありません。
 二番目の息子は、鉄砲の狙いを定めて、
 ズドン!
と、撃ちました。
 鳥は叫び声をあげて逃げて行き、あとには羽が二枚残りました。
 兄さんは羽を拾いあげて、朝になるまで待ちました。
 けれども鳥は、それきり現れませんでした。
 二番目の息子も、ドロボウを捕まえる事は出来ませんでした。
 
 次に三番目の息子が、ドロボウを捕まえに行きたいと言い出しました。
「おれに出来なかったんだ。お前に出来るはずがないじゃないか」
と、一番上の兄さんが言いました。
 それでも三番目の息子は、パンだけ持って出かけました。
 井戸まで来ると、腰をおろしてパンを食べました。
 すると、
「こんにちは」
と、カエルの声がしました。
 息子は、カエルを手の平に乗せて、
「パンが欲しいのかい? とても、おいしく焼けてるよ」
 カエルはパンをもらって、食べ終わると言いました。
「わたしを、トウモロコシ畑ヘ連れて行ってください。お手伝いしますよ」
「ああ、いいとも。一緒においで」
と、三番目の息子は言いました。
 すると、カエルが言いました。
「この井戸は魔法の井戸です。この中に、何でも願い事を言ってごらんなさい。きっと、かなえられますよ」
 三番目の息子は、井戸の中へ、
「トウモロコシドロボウが、捕まえられます様に。美しいお嫁さんが、きてくれます様に。そして、窓がいっぱいついている家に住めます様に」
と、願い事を言いました。
 三番目の息子とカエルは、一緒にトウモロコシ畑ヘ行きました。
 間もなく、美しい鳥がトウモロコシ畑に舞い降りて来ました。
 息子は鉄砲を向けて、その鳥を撃とうとしましたが、
「あっ、撃ってはいけません!」
と、カエルが叫びました。
 三番目の息子は、鉄砲を下に置きました。
 すると美しい鳥は、頭の上を飛びながら、
?わたしは魔法をかけられて、
?鳥になった娘です。
?お腹が空いて、
?トウモロコシを、いただきました」
と、歌いました。
 カエルがケロケロと歌を歌うと、美しい鳥がいつの間にかきれいな娘の姿に変わりました。
「さあ、あなたのお嫁さんですよ」
と、カエルが言いました。
 三番目の息子は娘の手を取って、お父さんのところへ帰りました。
 すると、どうでしょう。
 お父さんの家の隣に窓のたくさんついている、大きな家が建っているではありませんか。
「さあ、これがあなたの家ですよ」
と、カエルが言いました。
 三番目の息子がお父さんのところヘ行くと、一番上の兄さんは、
「こんな事なら、カエルを井戸ヘ投げ込まなきゃよかった」
と、言って、くやしがりました。
 二番目の兄さんは、
「カエルの歌を、聞いてやるんだったなあ」
と、くやしがりました。
 お父さんは約束通り、三番目の息子に財産をやりました。
 三番目の息子は、美しいお嫁さんとカエルと一緒に楽しく暮らしました。

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