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へんな怪獣
日期:2017-12-30 16:56  点击:527
 ある日、空のかなたから大きな宇宙船があらわれ、地球に近づいてきた。
「いったい、どこの星から、なにしにやってきたのだろうか」
「乗っているのが友好的だといいがな」
 人びとが話しあいながらながめていると、それは町はずれに静かに着陸した。やがてドアが開いた。なかから出てきたものを見て、みなは悲鳴をあげた。
 巨大な怪獣だったのだ。からだはカンガルーのような形で、手はゴリラのようだった。頭はオオカミに似て大きく、ツノもあった。全身が灰色のウロコでおおわれていて、みるからに強そうだ。
 まわりをとりまいて警戒している軍隊は、攻撃態勢をとった。しかし、すぐには攻撃せず、まず話しかけがこころみられた。
「わたしたち地球人は、戦いを好むものではありません。どんな目的でおいでになったのですか。おっしゃってくだされば、できるだけお役に立ちたいと思っております」
 といった意味のことを、身ぶりや絵や、字や声や電波で伝えようとしたのだ。あんな宇宙船に乗ってきたのだから、相手は文明を持っているはずだ。それなのに、なにをやっても、まったく通じなかった。
 みんながあきらめかけたころ、怪獣はわけのわからない叫びをあげ、ぎごちない歩き方で少し動いた。そばにあった木が三本ほど、ふみつぶされた。
「もしかしたら、長い宇宙の旅で、おなかをすかしているのかもしれない。食べ物を与えてみよう」
 いろいろな食べものや飲みものが大量に集められ、怪獣の前に並べられた。なにを食べるかなと見つめていると、怪獣はそれらをけとばしてしまった。
「お気に召さないらしい。しかし、失礼なやつだな」
 そのうち、失礼どころではない大さわぎになってきた。怪獣があばれはじめたのだ。近くのビルを押し倒した。また、自分の乗ってきた宇宙船をも、なぐったり、引きさいたりしてバラバラにこわしてしまった。おそるべき力だった。
「これはいかん。このままだと、人類がやられてしまう」
「そうだ。自分の宇宙船までこわしてしまうのだから、あれは頭がおかしいにちがいない」
 狂ったようにあばれる怪獣にむけ、攻撃がはじまった。なにしろ強い敵であり、勝てるかどうかわからない。しかし、どんなことがあっても、怪獣はたいじしなければならないのだ。自信はないが、まず数発の砲弾が発射され、命中した。すると、怪獣は簡単に倒れ、身動きをしなくなった。
「いやに、あっけないな」
 おそるおそる近づいて調べると、思いがけないことがわかった。怪獣は生物でなく、ロボットだったのだ。
「なんで、こんなものがやってきたのだろう。どこかの星の、オモチャなのだろうか」
「いや、こんなぶっそうなオモチャは、考えられない。オモチャなら、説明書ぐらいついていていいはずだ」
「それなら、地球を征服するために送りこまれた兵器だろうか」
「兵器にしては、たわいなさすぎた」
 どんなに話しあっても、結論はでなかった。こうして事件は終わったが、みな変な気持ちだった。
 それからしばらくたったある日。またも一台の宇宙船があらわれ、着陸した。ドアが開いたが、こんどはなにも出てこない。そのかわり、声が響いてきた。
「どうぞ、おはいりください。これは無人貨物船で、なかには、みなさんへのおくりものがはいっております……」
 そういわれても、人びとは不安だった。まえにやってきた怪獣はやっつけたものの、ゆだんはできない。すると、それに答えるかのように声がつづいた。
「……ご安心ください。危険なことはありません。あなたがたにおくりものをさしあげたものかどうか、このあいだ試験をさせていただきました。ロボット怪獣の目にしかけたテレビ・カメラで、あなたがたの動きや言葉を調べました。みなさんは、まず話しあいをなさろうとし、それがだめでも親切に食べ物をくださった。しかし、むちゃなあばれかたをはじめると、平和をまもるために勇敢に戦おうとなさった。すべて合格です。そのような星のかたを選んで、おくり物をさしあげているのです」
 人びとは、宇宙船のなかをのぞいた。声の告げた通りだった。そこには、美しい花や珍しいくだもののタネと、その育て方を書いた本、きれいな宝石、貴重な薬、いろいろな便利な装置などがいっぱい……。

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