四人の男があった。ほかにくらべようがないほど、彼らは仲がよかった。なにがかくも四人を結びつけていたかというと、それは|賭《か》けごとが人生のなににもまして好きという性格だった。
四人ということから|麻雀《マージャン》を連想する人があるかもしれないが、そうではなかった。彼らの好きなのは純粋な賭け。その点、麻雀には技術の優劣が関係してくるので、趣味にあわない。
しかし、四人が連れだって歩いていて、麻雀屋の前でふと足をとめ、なかへ入って行くこともたまにはある。だが、ゲームをやるわけではない。
「おれは四で割り切れると思う」
「おれは四で割って一あまりだ」
「二あまりだ」
「三だ」
すなわち、なかにお客が何組いるかが賭けの対象となるというわけだ。競馬もまた同様。馬券を買ったりすることはない。研究や情報が大きな要素をしめていては、純粋な賭けとはいえない。彼らは配当金の数字そのものを対象とする。四で割ってどうなるかという点を……。
純粋な賭けではあるが、宝くじを買うこともない。新聞に出る宝くじの一等の番号を見ればいい。彼らのあいだで賭け金のやりとりがなされ、それですんでしまう。なぜ四人が公認の|賭《と》|博《ばく》をきらうのかというと、ごそっと税金を天引きされるのが面白くないからだ。
また、|八百長《やおちょう》のからむ可能性のあるものは、すべて避けていた。ギャンブル・ブームの世の中とはいえ、こういう傾向の性格の人物は少ないとみえ、新たに仲間が加わることもなかった。ほかにこういうグループもなく、この仲間から抜けるやつもない。というわけで、この四人組は変ることなくつづいていた。
彼らはそれぞれちがった職業だったが、毎日一回は顔をあわせる。あわせなければ一種の禁断症状をおこし、気分が悪くなるからだ。会えばすぐ話は例の件になる。
「きのうそれぞれが賭けた、赤い数字を見にいこう。きょうはいくつが出ているか」
赤い数字とは、警察署の前に毎日掲示される、交通事故の死者の人数。それを見て、悲喜こもごもの声がおこる。
「わあ、ぴたり的中だ。胸がすっとする」
「ちきしょう。もうひとりだけくたばってくれれば、おれが的中だったのに。このところさっぱり当らない。おれは死神に見はなされている」
「なげかわしい。交通事故死が多すぎる。警察、なにをしている。死者が二人だけ少なかったらよかったのだ」
「さあ、あすの数に賭けよう」
この賭けには八百長の入りようがない。掲示の数字を見て、こうなるとわかっていれば、きのう車で一人ひき逃げしておけばよかったのだとくやんでも、すべてあとの祭。事故死が何名以上という賭けだったら、あるいはそれをやりかねない。しかし、おたがいにそんな性格を知っているので、赤い数字に賭ける場合は、数を四で割った結果を対象とする方法以外にやらないのだった。
彼らのうち二人は、ずっと前からひとり暮しだった。残りのうち一人は、このあいだまで父親と生活していた。賭けごとの好きなやつは親の死に目にあえないというが、そんなことはなかった。父親が重態におちいった日、その男は必死に看病をした。
「お父さん、元気を出して下さい。死んではいけません。せめて、あしたまで生きていて下さい……」
父親は苦しい息の下から言う。
「わしはもうなおらん。しかし、おまえみたいな親思いの子を持って、うれしい。一日でも長く生きていて欲しいというとは。よし、気力を出そう」
老いた父親は、生への最後の力をふりしぼり、つぎの日まで生き、そのつぎの日にも死ななかった。父親は言う。
「息子よ、おまえの願いにこたえ、わしは一日を生きのびたよ」
「一日以上になってしまいました。四で割りきれなくなった。こうなったからには、あと三日間を生きのびて下さい。あとに残される息子のためと思って……」
「なんという、妙な日数の区切り方をするのだ。むりじゃよ。わしはもう、生きるのに疲れた……」
「あ、お父さん。死んじゃいけません。し、しっかりして。お医者さん、強力な注射か酸素吸入かなんかで、ぜひ。え、もう手当てのしようがない。ご臨終だと。ちきしょう。やつらに金を取られる。ああ、お父さん、死んじゃうなんて……」
彼はあらぬことを口走り、死体にとりすがって号泣した。事情を知らぬ者は、孝行息子の哀切な姿に、涙をさそわれたにちがいない。
残りのもう一人は結婚していた。ある日、ほかの三人が話しかける。
「きみの奥さんは貞節かい」
「さあ、そんなこと考えたこともない。おれの生きがいは、妻より賭けごとだ」
「きみにも判定がつかないとなると、これは純粋で公平な賭けの対象となるぞ。たまにはこういう変ったのもいいだろう。おれはきみの奥さんがよろめくほうに賭ける」
二人がよろめかないほうに賭け、亭主はよろめくほうに加わり、二対二で賭けが成立した。ただちに腕ききのプレイボーイに依頼がなされ、自宅に派遣された。やがて報告がもたらされ、夫人はよろめいたとわかる。そのほうに賭けていた亭主は勝利の喜び。
「ばんざい。妻が浮気をした。おれの勝ちだ。どうだ、ざまあみろ……」
しかし、この一件が夫人の耳に入り、彼女はあまりのことにあいそをつかした。「あたしと賭けごとと、どっちが好きなの」と迫る。答えはいうまでもなく、その結果、彼女は家を出ていった。
かくして、四人はみなひとり暮しとなり、いままで以上に気ままに、その趣味に熱中できることとなった。もはや、文句をつけるうるさい家族は、だれにもないのだ。
道ばたでけが人を見ると、走り寄り、助けおこし、血の一滴をもらってくる。その血液型を調べるのだ。A、B、AB、Oの四つの型があり、それに対して賭けがなされているのだ。調べてみるまでは、だれにも予想がつかないことだ。
夏には趣向を変えて、ネズミ花火を使ったりもする。地面に十字を書き、その中央にネズミ花火をおいて火をつける。くるくる回って、最後にどの方角に飛ぶかの賭け。
秋には古い本にのっていた、柿切りという賭けをこころみたりする。柿を二つに切って、左右の種の数で勝負をきめる方法だ。
おたがいに技量伯仲。いや、正確には運命の神がわけへだてなくほほえんだというべきだろう。技量に関係のない賭けなのだから。だれも破産には至らなかった。大はばに負けがこむことはあっても、やがて盛りかえし、なかなか終ることがなかった。
「どうだ、ひとつ徹底的に賭けの勝負を争ってみようじゃないか。どこかのホテルに部屋をとり、時間を気にせず、とことんまで賭けてみよう」
「うむ、それもいいな」
ほかに楽しみはないのだ。相談がきまり、四人は札束を持ちより、それをはじめた。
勝負が白熱した、夜おそい時刻。彼らのいるホテルの部屋のドアがノックされた。
「だれだろう、いまごろ。ボーイかな」
「おれはサービスになにかを運んできた、女の従業員だと思う」
「おれは、だれかが部屋をまちがえたのだと思う。さあ、これに大きく賭けよう。きみはなんだと思う」
「では、おれはそれ以外の者とする。確率が大きすぎることはないだろう」
「それはそうだ。さあ、ドアをあけよう」
みなの話がきまり、ドアがあけられた。そこには警官がおり、こう言った。
「さあ、みつけたぞ。賭けの現行犯だ。密告があったので来てみたら、やっぱりだった。おまえらは常習だそうだな。逮捕する」
ひとりがうれしそうに叫んだ。
「ばんざい。おれの勝ちだ。ボーイでも、女でも、部屋のまちがいでもない。きょうの沈みを、みんなとりかえした。おまわりさん、ありがとう」
警官は目を白黒させた。なかに歓迎するやつがいるとは、どういうことなのだ。それでも職務は職務。あたりの札束と、サイコロとスゴロクとを証拠品として押収した。なぜスゴロクがなされていたかというと、これも彼らのいうところの純粋で公平な賭けだからだ。
四人はひそひそ相談しあい、警官に言う。
「恐縮ですが、警察手帳を見せて下さい」
「それは当然の要求です。さあ、どうぞ」
四人はそれをながめる。三人はがっかりし、一人が喜ぶ。
「この手帳の番号。四で割って三あまる。こんどはおれの勝ちだ」
警官が連行してきたこの四人を、警察はほとほともてあました。留置場に入れてようすをうかがっていると、なにやらささやきあっている。どういう順で呼び出され、取調べがなされるかに賭けているのだ。看守のその報告を聞き、その裏をかいて、四人をいっぺんに呼び出さなければならなかった。
だが、それも裏をかいたことにはならなかった。取調べが終り、留置場に戻される順についての賭けもなされていたのだ。四人はおたがいになれており、その一瞬のうちあわせまでは、看守も見抜けなかったのだ。
裁判がまたひと苦労だった。
「賭けの常習犯というからには、その証人を呼んでもらいたい。警察へ密告したのがだれなのか、それを知りたい。その証人をうらんだり、そいつにしかえしをしたりはしません。ただ純粋に知りたいだけなのです」
密告者がだれかについての賭けが、四人のあいだで成立しているのだ。ひとりは裁判官に無罪を主張する。
「賭けはよくないことかもしれないが、べつにわれわれ以外の者になんの迷惑も及ぼしていません。なぜいけないのです。このごろは学校の入学にまで、くじが使用されている。公団住宅だって、抽選でしょう。いまや実力より運の時代。社会や人生、かくのごとし。これが世の傾向です。無罪が正当です」
「それが被告の信念か」
裁判官が聞くと、それへの答え。
「いえ、わたしだけの意見です。無罪になると、わたしが賭けに勝つというわけで」
「反省の色がないな。となると、罰金刑を科すべきだな」
「罰金でもけっこうですよ。しかし、その場合は、できることなら、最後のゼロを取っ払った数字が、四で割り切れるような金額にして下さい」
ほかの者が口を出す。
「それはいけません。そんなことをしたら、裁判官は八百長だ。どうせ八百長なら、わたしのために、四で割って二あまりに……」
裁判官もあきれてしまう。
「驚くべきことだ。手のつけようがない。禁治産者にすればいいのだが、みな家族がなく、その申請をしてくれる人がないとくる。どうなのだ、被告たち。賭けの習慣をやめられないのか」
「やめたいと思うこともありますが、ほかの三人の顔を見ると、その意識がさっと消えてしまうのです。生きている限り、やめられそうにありません。あるいは、ほかの三人が破産するか死んでしまうか……」
「早くそうなってほしいと本官も思うよ。断食バクチかなんかやって……」
「どういうことです。聞いたことのない賭けのようですが」
「つまりだ、それぞれが全財産を賭け、断食をはじめる。途中でなにか食った者は、それで失格。死ねばそれももちろん脱落。最後に一人だけ勝ち残るというわけだ。いくらおまえたちでも、これはできまい」
冗談であり、そこまでの勇気はあるまい、だから賭けはやめろとの意味だった。しかし、それは裏目に出てしまった。
「こりゃあ、すごい。画期的なアイデアだ。自己の精神力と体力を賭けるとは、はなばなしさの極致だ。さいわい、健康さの条件もみな同程度。いいぞ。じつは、平凡な賭けばかりなので、いささかあきていたところなのです。しかし、やめては生きがいがない。そんな心境だったのですが、いまの提案で、心の底から闘志がわいてきました」
「まあ、待て……」
裁判官、あわてて口を押えたが、もはや手おくれ。
かくして、四人は世紀の断食バクチを開始した。
といって、とくに熱狂的なものではなかった。四人が一室にとじこもり、おたがいに監視しあうだけの静かな進行だった。
どこで聞き伝えたのか、宗教関係者が説得にやってきた。
「おやめなさい。自殺は罪悪です」
「なぜ自殺が罪悪なのか知りませんが、その主張はみとめてあげましょう。しかし、だれが自殺しようとしているんです。わたしは死ぬつもりなんかありませんよ。みごと生き残って勝つ自信があるからこそ、この賭けに参加したのです」
「しかし、他の人を殺すことになる」
「では、ほかの三人に聞いてみて下さい。わたしに殺される恐怖を感じているかどうか」
「そういっても、いずれにせよ、だれかが死ぬことになる。死はいけません。生きていればこその人生でしょう」
「生きがいが賭けなのです。わたしは負けるなど考えていない。ほかにご忠告は……」
まるで話が通じない。宗教関係者は説得をあきらめ、帰っていった。そのうち、どこかのテレビ局のプロデューサーがやってきた。
「すごいことをはじめましたなあ。どうでしょう。実況中継の独占権をわたしの局に下さい。驚異的な視聴率はまちがいない。昨今の視聴者は、人命に関する番組が大好きとくる。口先では非人道的だと言いながら、内心では早く死ぬのが見たいと祈り、画面をにらみつけてくれます」
「そういうものですか」
「そうなんです。学者や評論家の大群を集め、賛否両論の大連続討論会を演出する。むかし、保険業が一種の賭けとみなされ禁止された時期もあった。しかし、いまはみとめられている。統計に金を出すのはよくて、確率に金を出すのがなぜいけない。こんな本質論からはじまって、開発途上国の援助に金を出すのも、革命もクーデターもみんな賭けではないかと、大論戦になるぞ。なんだか、ぞくぞくしてきた」
「謝礼をはずんでくれれば、中継してもいいですよ。謝礼は四人に分けなくてかまいません。最後に残った一人が取るんですから」
「しめた」
プロデューサーは飛び上って喜んだが、局へ帰って検討すると、金を出すことは局が賭けに参加することになるわけで、テレビコードにひっかかる。放送不能ときまった。プロデューサーは残念がったが、やむをえない。最後の勝利者のインタビュー放送権の独占予約だけで、あきらめなければならなかった。
そんなことにかかわりなく、四人の断食バクチは進行し、何週間かがたった。もちろん空腹だが、賭けへの情熱のほうが上まわっている。中途でやめようとする者はない。
警官隊が強引に中止させようとやってきた。しかし、近づいたら薬を飲むぞとおどかされ、帰っていった。外見は同じ四錠の薬なのだが、そのうち三錠には毒が入っている。
時どき医者がのぞきにくるが、手の出しようがなかった。法定伝染病でもなく、家族の申し出もない。他人に害を及ぼしてもいない。当人たちの意志を無視して強制入院させる口実がないのだ。ひとりが医者に言う。
「先生、ほっといて下さい。もっとも、死亡診断書の時にはおねがいしますよ。それより以前の手当てはおことわりです。安楽死も、だれも望んでいませんよ」
生命は当人のものか社会のものか。かかる状況について論ずる気になれば、生存の意義をめぐり、きわめて深刻にして不毛なる議論をとめどなく展開することも可能なのだが、この四人にとってはどうでもいいことだ。賭けの意義は結果しかない。
そのうち、ひとりが弱々しく言う。
「断食の苦痛も死の恐怖も、なんとも思わない。だが、結果を見ずに死ぬのは残念だ……」
そして、息が絶えた。さらに、もうひとり。
「くやしいな。二番目に死ぬのがおれだというのに賭けておけば、みごとに勝つところだったのに……」
とわけのわからぬことを言い、息たえた。
「どうだ、このへんでやめてもいいぞ。二人で金を山分けして」
「それはいかん。ルール違反だ。さきに死んだ二人に申し訳がたたん。いやになったのなら、きみが抜ければいい」
「いや、おれは勝つつもりだから、抜けはしない。きみが降参するよう、水をむけて言ってみただけだ」
断食バクチはさらに継続した。二人は勝負の鬼と化している。しかし、いかに気力があっても無限にはつづかない。食わなければ死ぬという、生物の悲しい宿命。ついに、もうひとりも息が絶え、死亡診断書が作成された。医者の連絡で、テレビ局員がかけつけてきた。
「おめでとうございます。この世紀のレースを勝ち抜いたご感想は……」
「われ勝てり。それがすべてです。最後に二人となってからは、気力だけで生きていた。からだのほうはずっと前に死んだも同然でした。仲間たちはいなくなったし、わたしもこの世に生きる楽しみはない。つまり、気力もこれで終りです。ひとつお願いが。わたしには遺族もない。この金は不幸な人たちのために寄付して下さい。ああ、面白かった……」
「しっかりなさって下さい。この薬を飲んで元気を出して……」
アナウンサーのさし出す、この中継番組のスポンサーである製薬会社提供の薬を飲み、最後の一人もにっこり笑って息たえた。
さきに死んだ三人、死出の旅路をゆく。
「お、むこうに川が流れている。|三《さん》|途《ず》の川らしい。平原を流れているので、どっちが上流かわからんな」
「おれは右が上流だと思う」
「おれは左だ。しかし、三人だと、こういう場合に困るな。二対一ではバランスがとれない」
勝手がちがって弱っていると、うしろから「おーい」との声。最後の一人が追いついてきた。
「やっといっしょになれた。おれたちは別れられぬものらしいな」
「まあ、そろってよかった。さて、おれたちは天国に行くのだろうか、地獄だろうか」
「そこなんだ。おれたちの出しあった金は、不幸な人たちに寄付してきた。どんな不浄な金だろうが、寄付さえすれば善行となるのが慣習。また、おれたちは生前、他人に迷惑をかけてない。この点からは天国の可能性がある。だが、どの宗教も賭けをいいこととはみとめていない。この点からは地獄ともいえる。可能性は半々だな」
「よし、それでいこう。おれは地獄のほうに賭ける」
二人ずつに意見がわかれ、賭けが成立した。なんだかんだと楽しんでいるうちに、|閻《えん》|魔《ま》大王の前につく。大王いわく。
「おまえらは生前、賭けばかりやっておったな。天国にやるわけには……」
「わ、ばんざい。おれが勝った。天国じゃないのだ。では、つぎは、炎で焼かれるのと針の山と、どっちが先かで……」
それを見て閻魔大王。
「ま、まて。まだ決定を下したわけではないぞ。おまえらは賭けとなると、いかなる苦痛も感じなくなるとみえるな。地獄にやっても、それだと罰の意味がなくなるし、こんな傾向が他の連中に伝染したらことだ……」
「となると、天国のようだぞ。では、つぎの賭けはこうしよう。われわれのすぐあとから天国へ来るやつ、それは男か女か……」
「まて、天国にやるわけにもいかんな。ひとりは天国、ひとりは地獄、ひとりは生きかえらせ、ひとりはわしの手伝い。そう分離したいところだが、おまえらの生前は同じ条件、それぞれにちがった決定は下せぬし。どうしたものか、ううむ……」
閻魔大王、腕組みし、うなりはじめた。四人は話しあう。
「どうだ、このうなる声、いくつかぞえるあいだつづくかだ。おれは四で割り切れる数に賭ける」
「おれは二あまりだ」
たちまち賭けが成立。四人は声をあわせて数をかぞえはじめる。閻魔大王、だれかひとりを勝たせて喜ばせるわけにもいかず、にが虫をかみつぶしたような顔で、いつまでもうなりっぱなし……。