1982・夏 原宿
八年の歳月なんて、経ってしまえば信じられないほど短い。
「正確に言えば、七年と九か月ね」
朋子は節高の指を折りながら数える。
「そうなるかな」
東京駅で朋子と再会し、中彦は名古屋から帰ってすぐに連絡をとった。
「飯でも食おう」
「いいわよ」
「なにがいい?」
「なんでも。静かにお話のできるところがいいわね」
「じゃあ、またもや、イタリア料理」
「はい」
中彦は西麻布《にしあざぶ》の�カルネ�を告げた。
「あ、知ってる。行ったことはないけど」
朋子の声が電話の中で笑っている。中彦にしてはしゃれた店を言ったからだろう。八年経てば少しは変化する。学生から社会人になった。
�カルネ�は、普通の家を改築してレストランとした店である。天井が高く、廊下ぞいに小部屋がいくつか並んでいる。行くたびに入る部屋が異なる。
中彦は広尾《ひろお》駅からゆっくり歩いて、約束の時間に着いた。ドアの前で、
——この店なのかしら——
戸惑っているグリーンのスーツが朋子だった。
「このあいだはどうも」
「びっくりしちゃった」
連れだってドアを押し、奥まった部屋に案内された。
「よくいらっしゃるの、ここは」
「いや、二度目だ。まだ新しい。建物は古いけど」
「これからは、こういう感じの店、増えるんじゃないかしら。銀座あたりで豪華にやるんじゃなくて……。お値段も手ごろで。ちがう?」
「その通り。どうしてかな、イタリア料理ってかかげると、フランス料理より二、三割安い」
「言えるわ」
とりあえずドライ・シェリイを頼んだ。
「ここは小皿で、少しずついろんなものが出て来る」
「それがいいわね」
料理はおまかせ。白いイタリア・ワインをこれもお勧めのボトルを選んだ。
「結婚をして、子どもを塾に通わせてる頃かと思ってたよ」
「お友だちはみんなそうよ」
「この先はどうする?」
「まだ先のことを考える段階じゃないわ」
「店をやってるんだって」
「自分の店じゃないけどね。デパートに戻るわけにもいかなかったし、アパレル関係の仕事をやったり、アクセサリーや宝石の勉強したり……いろいろやってたの。その縁で原宿《はらじゆく》のお店の経営者と知りあって、週に四日まかせられているの」
「なるほど」
「あなたは、なにをしてらしたの?」
と、フォークを止めて尋ねる。
「だからサ、今は予備校の教師だよ。わりと気に入ってんだ」
「本当に?」
「そりゃ女性の前じゃ、大学の講師ですとか、そういうこと言ったほうが恰好《かつこ》いいだろうけどサ。大学は厭なとこだよ。サラリーマンよりもっとオベンチャラ使って生きなきゃ駄目なんだ」
「へえー、そうなの」
「予備校は収入もまあまあだしな。大学の講師じゃ、なかなかイタリア料理だって食えないぞ」
「恰好つけること、ないわね。気ままにやっていけるのなら、それが一番。本当にそう思うわ」
「イタリア人なんか、うまいものたらふく食べて、女性と適当に遊んで、それで一生送れれば一番幸福だって思ってんじゃないのかな。社長になるとか、後世に名前を残すとか、それで一生苦労のし通しじゃ、かなわんよ」
「明るいわね、連中は」
海の幸のスパゲティを選んだ。
「で、あれ、どうなった」
と、今度は中彦が手を止めた。
「なーに」
「地図のぬり絵。続けてる?」
「実際にぬり絵をするわけじゃないけど。でも、頭の中ではやってるわよ。それほど本気じゃないけど。少し減ったわ、白いとこが」
「いくつになった、残り?」
「まだたくさんあるわよ、えーと、十三くらい」
「君の癖が移っちゃって、俺《おれ》も頭の中で少しやっている。まだ七つ、八つ残っているんじゃないかな」
「一桁《けた》になってからは、なかなか減らないわね。行くとこって、案外決まってるでしょ。年齢より少ないのは、社会性がとぼしいんじゃないかしら。世の中に出て活躍している人はやっぱりいろんなところへ行ってるわ」
「一都二府一道四十三県だから……全部で四十七あるわけだろ。俺たちの年齢なら十六、七残してていいわけか」
「女性の場合よ。男性はハンディキャップがなくちゃあ」
「職業にもよるな。交通公社あたりに勤めていたら……」
「プロは標準にならないわ」
「そりゃ、そうだ」
会話が弾む。
中彦はだれとでもこんなによく話すわけではない。教室で喋《しやべ》りまくっているから、むしろ普段は無口になる。ワインの酔いのせいもあるけれど、朋子が聞き上手なのではあるまいか。朋子は自分もよく喋るが、それ以上に楽しそうに聞く。眼を輝やかせ、頷《うなず》いたり、首を傾《かし》げたり、半畳を入れたり、皮肉ったり……。朋子と話していると、中彦は自分がやけに話し上手になったような気がする。
薄い網焼きのステーキ。
「肉の名前って、フランス語から来てるって、本当?」
人の噂《うわさ》が話題になることはめずらしい。共通の知人がいないせいもあるだろうが、朋子はいつも知的なものを求めている。
「ビーフとかポークとか、そういうやつ?」
「ええ」
「マトンもそうか」
「動物そのものを言うときは、ちがうでしょ。カウとかピッグとかシープとか」
「フランス語では牛がベーフ、豚がポルク、羊がムートンだ」
「みんな肉の呼び方に近いわ」
「そう。昔、イギリスの上流階級はフランス系だったから。家畜を扱うのは下層階級だったろうし。動物そのものを言うときはアングロサクソンの言葉で言い、料理に使う肉はフランス語風に言ったんじゃないのか」
「料理教室で、そんな話、聞いたわ」
皿の上にフォークとナイフを揃《そろ》えて置き、ナプキンで口を拭《ぬぐ》ってから、
「さっきの話だけど……」
と、朋子の顔を覗《のぞ》き込んだ。
「なにかしら」
「旅に行かない? ぬり絵の旅」
「ああ……いいわね」
「どこが残っているかなあ、二人とも行ってないところ」
「いくつかありましたよね」
「四国なんか」
「うわーッ、遠い」
「飛行機を使えば、とくに遠くはないだろ」
「いいんですか、そんなことしてて」
「俺《おれ》? いいよ。気楽に生きるために今の仕事やってんだもん。授業があるのは一週間に四日だけ。あとはどうせ映画みたり、本を読んだりしているんだ。君のほうこそどうなんだ」
「前よりは時間が作りやすいけど、そうひまだらけってわけじゃないわ。食べて行かなきゃ駄目だし」
「そりゃ、そうだ。地図をすっかり埋めたら……なんかいいことが起きるんじゃなかったっけ?」
「なにが起きるかしら」
「天変地異かな」
「そうかもしれないわよ」
「どこがいいかな。愛知県、まだだったろ」
「名古屋ね」
「そう。それから三重県。近いよ。俺も行ってない」
「そうねえー」
と、ためらう。
「無理かなあ」
「なんだか昔より……」
「昔より、どうなんだ」
「積極的になったみたい。前はもっと……どういうのかしら」
「ぐずぐずしていた」
「うーん。ゆっくりしていたわ」
「そんなには変ってないサ。ただ楽しいことは遠慮なくやったほうがいいと思って」
「そりゃそうね」
「だから行こう。無理かな」
「あんまり急だから。少し考えさせてくださいな」
「それはいいよ。名古屋なら俺は毎週行ってるし」
「それじゃつまんないでしょ」
「名古屋を起点にして三重に行く。あるいは滋賀。まだだろ」
「滋賀へは一昨年、行ったわ。北のほうがいいんじゃない、暑いから」
「言える。北と言うと……よし、ぬり絵を作ろう。どこへ行ってないか、チェックをして」
「ええ……」
と、朋子は煮えきらない。
「まずい?」
「特にまずいことはないけれど……あんまり急だから」
と、同じことを言う。
「うん」
中彦は朋子の心にあるものを推し計った。
考えてみれば当然かもしれない。なにしろ八年ぶりに会ったのである。昔の親しさがすぐに戻って来るはずもない。気持ちの問題ばかりではなく身辺のさまざまな事情が障害となる。ぬり絵の地図なんて……ただの遊びでしかない。
「どうして独りなの?」
と朋子が聞く。
「特に理由はない。なんとなく……」
おそらくこの答は九十パーセントくらい正しいだろう。だが、若干の説明不足が含まれている。
一つは……ここ数年、何人かの女性と親しくなる機会がなくもなかったけれど、いつも中彦の心の中で、
——朋子のほうがよかった——
と、そんな意識がうごめく。
相手の女性をそれほどよく知っているわけでもないし、朋子の人柄だって知らない部分が多いのだが、それでも野島崎を訪ねた頃の親しさだけを考えてみて、
——やめておこう——
と、なってしまう。
もっと納得のいく相手とめぐりあうまで無理をすることもあるまい、と思う。そのくり返し、そんな側面がたしかにあった。
そして、もう一つ。そんなふうにして三十のなかばまで来てしまうと、
——このほうが俺にあっている——
と、環境の変化を回避する気持ちも生まれて来る。
周囲を見まわしても、みんなが幸福な結婚をしているとは限らない。不幸な、とは言わないまでも、とくに魅力的とは思えない結婚も多い。いっときの楽しさのために、ずいぶん窮屈な思いをしている奴もいる。結婚なんて、腹の底からその気になれるときまで待ってもいいだろう。
だが、どちらの理由も朋子に告げるのはためらわれた。どんな言い方をするにせよ「あなた以上の人がいなかったから」と答えるのは抵抗がある。あまりにもなまぐさ過ぎる。朋子の気を引き過ぎる。少しはしたない。さりとて「独りでいるほうが好きなんだ」と、言い切ってしまうのも、なんだか今後の可能性をまるで否定してしまうようで気が進まない。
「どうなさったの?」
「いや、べつに。少しずつ仲よくなろう。あなたに支障のない範囲で。俺のほうはいいよ。もともとあなたが好きなんだから」
「ありがとう。うれしいわ。久しぶりだなあ、そんなこと言われるの」
「そう?」
「そうよ」
「出ようか」
「出ましょう」
「広尾駅の近くにスナック・バーがある。そこでもう少し飲もう」
朋子は時計を見てから、
「いいわよ」
と頷《うなず》いた。
肩を並べて狭い歩道を歩いた。
「あのね」
朋子が独り言のようにつぶやく。
「うん」
「離婚をしたって言ったけど、正式に届けを出したわけじゃないの。どう言ったら、いいのかしら。とても中途半端な状態なのよ」
「へえー」
「主人は遠縁の人で、父の会社の幹部だったの」
「絵具とか額ぶちとか、そういうのを扱う問屋さんだったよな」
「ええ。問屋って言うか、商社って言うか、小さな会社だったけど」
「うん」
「父が彼を信頼していて、まあ、私の結婚もそれと関係があったんだけど……なにもかもくっついているのって、よくないわね。私の父が死んで、彼が会社の責任者になって、やっぱり若いから失敗しちゃったのね。不渡りだとかなんだとか、いろいろまずいときに、彼の女性問題がばれちゃって、仕事も家庭ももう目茶苦茶」
「なるほど」
「彼、一時姿をくらましちゃって……たいした人じゃないのよ。彼のほうもめんつが立たなくはなるし、私のほうも釈然としないし、それでずっとべつべつになっちゃって……」
「子どもはなかったんだよな」
「ええ。よかったのか、わるかったのか。もう少しましな人だと思っていたけど」
「ふーん」
ずいぶん大ざっぱな説明だが、情況はおおよそ見当がつく。仕事のトラブル、家族のトラブル、女性のトラブル、みんな一緒に持ちあがって対処の策を講じるより先に情況がどんどんひどくなり、どうにも取り戻せないほど夫婦の気持ちが離れてしまったのだろう。
「いずれ離婚するでしょうけど、まだ母がいて希望を持っているから」
それもわかる。
朋子の母親にしてみれば、娘の夫が会社を継いで一族に繁栄をもたらしてくれるだろうと、その夢をずっと抱き続けていたのだろうから……。いつか朋子たちのよりが戻って、会社も家族も順調になることを心待ちにしているのではあるまいか。
「お元気なんだろ、お母さん?」
「少しぼけが始まっているけど」
「あまり自由にはやれないわけだ、君としては?」
「そうでもないわ。私は、いずれ一人っきりになるんだし、自分の生き方をちゃんと確保しなくちゃね」
「まったくだ。今の仕事はどうなの?」
「とてもいい。やり甲斐《がい》があるし、その気があれば、ずっとやっていけるでしょう、きっと」
「いっぺん覗《のぞ》いてみるかな」
「どうぞ。男の人におもしろい店じゃないけど」
「スポンサーは……男の人?」
だれかが資金を出して、朋子が手伝っているような話だった。
「厭だ。男の人じゃないわよ。アパレルの仕事をやってた頃の問屋の人で……私のこと、ものすごく買ってくれてたの。そのかた、独身なんだけど、ものすごくやり手で衣料品の問屋をやりながらもう一つ店を始めたのね」
「ああ、そうか。ここだ」
スナック・バーのドアを押した。
「いらっしゃいませ。カウンターでよろしいですか」
「うん」
奥まった席に二人並んで腰かけた。椅子《いす》が高く、足がブラブラと宙に浮いている。
「きれいね、洋酒の壜《びん》て」
形も、ラベルの色あいも、とりどりの壜が行儀よく棚に並んでいる。
「なににしましょう」
「なにがおいしいのかしら」
「俺はマンハッタン。ウィスキーはバーボンで作ってくれないかね」
「かしこまりました」
バーテンダーは三人。白いシャツに黒いチョッキ。一人は女性である。
「君はマルガリータなんか、いいんじゃない」
「名前がすてきね。じゃあ、それ」
「かしこまりました」
朋子は店の中を見まわし、それから中彦の顔を覗《のぞ》いて、
「わかりましたか? 私のこと」
と聞く。
歩道を歩きながら語った件についてだろう。
「だいたいわかった」
「いつか言ってらしたわね。日本人は七のことを説明するのに一から順に説明して七まで行こうとする。初めに十を言って、三を引くという説明はあんまり得意じゃないって」
たしかにそんなことを言ったかもしれない。
「うん。大ざっぱに言えば、こうだ、しかし、こことここがちがう、そういう説明のほうがわかりいいときが多いんだ。初めに十を言って、少し引き算をする」
「そうよね。こうではなくって、ああでもなくって、こういう条件もあるけど、ここがちがって、あそこもちがって、つまりこうであるってのは、わかりにくいわね」
「そう。しかし、よく覚えてたなあ、そんなこと」
野島崎からの帰り道ではあるまいか。
「そのあとの説明がおもしろかったから。日本語は構造的にそうなってるって、それは岡島学説なの?」
「いや、いろんな人が言ってることだ。めずらしくもない」
「初めて聞いたわ」
「日本語は大切なことを、あとに言う。この店はおいしいけど、高いんだ。この店は高いけど、おいしいんだ。あとに言ってることのほうが大事なんだ。英語は大事なことを先に言う。あとから、それに条件をつける。だいたいそうだな」
「駅のこと、言ってたわ」
「ああ、言ったかもしれない。この列車は新横浜、小田原、熱海《あたみ》、三島、静岡、浜松、豊橋《とよはし》、名古屋……。一生懸命聞いていて、最後に�止まります�あるいは�止まりません�一番大切なことが出て来る。みんな大きな駅だから、知ってる人は�止まります�のほうだと思うけど、知らない人はわからないし、知らないからアナウンスメントが必要なわけだろ。英語なら�ジス・トレイン・ストップス�か、�ジス・トレイン・ダズ・ノット・ストップ�か、先に言うから、聞きやすい」
「おもしろいわ」
「で、どうなんだ。ややこしい従属文はべつにして、今はほぼ離婚しているんだろ」
「そう。だから、そう言ったの、東京駅で。大ざっぱに言えば自由の身ね。こまかく説明すれば、いろいろくっつくけど」
「じゃあ、ぬり絵の旅に行こう」
「少し考えさせて。近々にお電話するわ」
「俺も、この八年のうちにあちこち行ったし、君も行っただろ。とにかく君が行ってないところを教えてくれ」
「うん? エート、北からね。岩手、秋田、福島……」
中彦がメモ用紙をもらって記す。
この夜はこれで終った。
中彦は翌日わざわざ神田の大きな書店にまで赴いて新聞紙ほどの白地図を買った。県境を細い線で記しただけの白い日本地図である。赤と青の色鉛筆を用意し、まず自分が行ったことのある都道府県に青の斜線を入れた。次に、赤鉛筆をとって朋子の行ったところに赤の斜線を入れる。床屋のシグナルのように赤と青の線が交錯していれば、そこは二人とも行ったところだ。逆に福島、和歌山、愛媛、長崎、まっ白いところが四か所だけ残った。
中彦自身の空白は……青の斜線のないところは、そう多くは残っていない。
——行くとしたら、赤の斜線のないところ——
この計画はもともと朋子が言いだしたことなのだから。地図が隈《くま》なく赤で埋まるとき、
——なにか起きるかな——
中彦はぼんやりと考えた。
三日たって朋子から電話がかかって来て、
「思いきって、気晴らし、やりましょうか」
と、弾んだ声で言う。
「本当に。行こう、行こう。俺、考えたんだけど、こういうことできるときって、一生のうちでもそうチョイチョイはないんじゃないのか」
「そうかもしれないわね」
「白地図を買って来て、本当にぬり絵を始めたよ。君のぶんと俺のぶんと」
「私もやろうかしら。どこに売ってるの、白地図って」
「俺は神田で買った。大きな書店で……文房具も扱っているようなところ」
「ああ、そう」
「二人で一つずつぬりつぶしていこう」
「うまくいくかしら」
「君次第だ」
「前途|遼遠《りようえん》ね」
「そうでもない」
「一つだけお願いがあるの」
「なんだ」
「わざわざ言わなくてもいいんでしょうけど」
「なんだよ、言ってごらん」
「ええ……。旅に出たら、途中でおもしろくて、ためになること、かならず一つ、聞かせて。私、好きなの。あなたの、そういうお話」
「へーえ。おもしろくて、ためになる?」
「そうよ」
「たとえば」
「いろいろ話してくれたじゃない。ローマ数字のこととか、日本語はあとで言うことのほうが大切だとか」
「聞いてどうする?」
「おもしろいから。ためになるから」
「どういうテーマがいいんだ」
「わざわざお願いするほどのことじゃなかったみたい。あなた、いつもそんな話をしてくれるから……。気にしないで。今までとおんなじでかまわない」
「うん。しかし、どこへ行く」
「おまかせ」
「会津《あいづ》かなあ、とりあえず。どっちも行っていないよな、福島県は」
「そうね。近いし、手ごろかもしれない」
日取りだけを決めて中彦が計画を立てた。