喫茶店のかたすみに
いまにも崩れそうな弱さを
必死にささえている二人がいる
日焼した心が
ふっと、ドラマテイックに
駆け出したくなる天気ですネ
二枚の便せんを
手に持ったまま息をつめ
まぶたをとじている女がいる
化粧した言葉が
さあと、指からこぼれて
明日、雨ならいいですネ
騒音と喧噪の中に
消えるうしろ姿
loveを枯らしてしまった男がいる
明治的なロマンテズムで
そっと、あの人のイニシャルを書く
羽のはえそうな日ですネ
喫茶店のかたすみで
私の過去のような未来のような
想い出が通り過ぎて行くのを
だまって見ていた
こんなに、いいお天気だというのに