去年失ってしまったものの重さが
今 澱のように沈み
絶え間ない雨が今日も降り続く
弱気と苦渋をカクテルで飲む 腹だたしさの出口のない思いは
分解して しゅう酸の炎となり
焼けこげて みにくくひきつれた魂
何枚も 何枚ものヴェールで包む
突然襲った嵐は
鋭い刃物となって ヴェールを切り裂き
剥ぎ取ろうとする
顔を背けたいだろうその姿は
誰よりも私
あの時なぜ気づかれぬうちにもう一枚
大急ぎで 厚めのヴェールを
まとってしまえなかったのか
だが私は
快感さえもってそれを
全部脱ぎ捨て
雨の中でしっとりと
紫陽花は
柔らかな淡青色
薄緑の映えの中で
なんと おまえは美しい