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家族の肖像
日期:2018-06-22 16:26  点击:266
玉シダに映る 午後のたゆたい
光が硝子戸に 虹の輪を作り
母は 朝露に咲いた 朝顔の花を数え
娘は その汁で 色とりどりの和紙に
鮮かな 水中画を描く
机上の編み物は 白い無限のレース模様を
日々の重さで 私に語りかけ
不在の時の長さを 部屋の中に繰り拡げる
 
父は 天上の黄ばんだ煙草の煙の跡に
娘達の幸せを 今に問いかけ
夫は 私の弾く晩年のリストを聞いている
妹は 旅の疲れを知らぬ 妖精のごとく
白と黒のドレスの 衣ずれの音に
鏡の中の世界に 耽溺し
夢幻の横顔を映し出す
三四郎の弟は 一日中洋書を手にし
紙潔の美しさを 映像に見つめて
精悍な腕で 地図を拡げる―
娘は マザーグースの歌を歌いつつ
猫に舞い 優しい頬ずりを止めようとも
せず 血の愛をすりかえようとする
母は孤り 無言で廊下の端に立ち止まり
蔵書の中の金文字の かすかな色の
移ろいの行方に 過去を眺め
愛する者達の彼等の動きの奥で
言葉を失った 古いいぶし出された
振り子のように 一対の 物静かな
語り部に似た 空蝉になろうとしている

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