夕暮れの公園に石の低いベンチを見つけ
ほっとして座ってみる
目の前をふいに人が走り抜けた
うつむいていると続いて又一人
痛むつま先やふくらはぎが
もうこれ以上歩けないと信号を送る
重い腰も大きくうなずいてしまう
汗がにじむショートカットの地肌を
夏の終りの風が通り抜けかけ
生暖かくなってあわてて逃げだした
天幕のような高い木立に囲まれ
見上げると枝葉の間から
まだ青色のわずかに残った空が見える
小さな落葉が風に押されて紙の風車のように
コロコロところがり始める
空の色は益々暗くなり
少し濡れた顔をさらし風に甘える
幹の間を縫って投光器の強い光が差しこむ
輝度が落ちることを望みながら
その光の中で大きく文字を書く
あの大きなネットの向うでは
仕事を終えた人々がつつましく
クラブを振っているのだろうか
夜になってしまった公園では木々達は
急にそっけなくお互いにひっそりと
話し始める
かわいた顔をあげ立ち上った
急にはなやかになった交差点の
青い光の中にふと深い海の色を見て
私は歩きだした