鏡の中のわたしは
歪んだ醜い人間のぬけがら
ますます無口になり
地下室に身を横たえ飢えた野良犬のように
目ばかり異様に光らせていた
わからないことは聞けと言う
何のためらいもなく質すと
忽ち
冷酷な眼差しと嘲笑が
茨のように
身体のあちこちに突き刺さる
みせかけのあの言葉は偽りだったのか
はげしい嫌悪は
沈みきった魂の内側を
うねりながら通り過ぎる
反発の壁に凭れ
重苦しい心をひきずりながら
目を閉じると
ぼんやりとした地平線がひろがり
遠いところでやさしく呼ぶ声がする
やがて
軽やかに足音が聞え
いたわりの明日がかけ寄ってきた
わたしは
よろけながらも
ゆっくりと立ちあがる