あなたが好きと
顔に書いてしまう
いけないのに
書いてしまう
始めは鉛筆で書いた
薄暮の裏通りを
小走りに
消しゴムを買いに行った
ゴシゴシこすると
顔の字はすぐ消えた
ふとしたはずみに
青色の油性ペンで
あなたが好きと
顔に書いてしまった
消すことを放棄した私は
白昼の鏡に向う
鏡面のゆらめく光の波に
好きと言う字が
漂っているのが
見えた