見返しに
不幸が描かれていても
閉じることのできない
たった一冊の
私という本
ページをめくる度に
縮んだり膨らんだりする
臆病な私が
行間に
沈澱する
変色しかけた
過去のページと
インクの匂いの
包みこまれた
未来のページの
境目に
真実の栞が
ブイのように浮かんでいる
流されまいと
死に物狂いで
ブイの栞に
すがる私がいる