―自分たちは生まれる
地面の深いどうくつの中で
えものを見つけるとおそいかかる
小さな小さな水てきを体中にまといながら
たまに自分の百倍ほどの高さの巨人から砂でよごれたでこぼこしたものでたたかれる、
大きい五本のミミズが合体したもので遠くに飛ばされる
しかし自分はそれにのぼり、黒い毛がはえているうすい茶色のやわらかいものにかみつく
―自分の信念という大切なものを、こわさせないようにー
やがて自分たちは倒れてゆく
体はこわれ、信念はこわれずに灰になってゆく
カリ カリ カリ
人間がいつも たべものくれる
幸せだ
むしゃ むしゃ むしゃ
森の中 さがせば
いつでも 食べられる
幸せだ
なんで せんべい食べないの
どうして 草を食べないの
なんで 人間がきらいなの
どうして 人間が好きなの
町の鹿 田舎の鹿
2ひきの鹿が けんかしてる
満腹 まんぷく
次は 私たちを
さわらせてあげる
なで なで なで
満腹 まんぷく
次は 仲間と草原を
走りまわろう
ピョン ピョン ピョン
なんで 草原なんか 走るんだ
どうして 草原を走らない
なんで 人間からにげるんだ
どうして 人間に近よるんだ
場所がちがうと
生活 変わると
どちらの生き方 幸せか