ところが今度はとうとうイザナミ自身が追い駆けてきました。イザナギは千人もの多人数で引くほどの重さの岩を坂に置いて、道を塞ぎます。
岩を挟んで向かい合ったイザナミに対して、イザナギは離縁を言い渡しました。イザナミは、
「愛しいあなたがこんな仕打ちをするのなら、私はあなたの国の人々を一日に千人絞め殺してしまいましょう」
と言い、
イザナギは、
「ならば私は一日に千五百人ぶんの産屋を建てましょう」
と返しました。
これゆえにこの世では一日に必ず千人が死に、一日に必ず千五百人が産まれるようになったのです。
黄泉比良坂は、今の出雲国(島根県)の伊賦夜坂(いふやさか)のことです。