大国主には多くの兄弟の神がいました。しかしどの神も大国主に国を譲ってしまったのでした。それには次のような理由があったのです。
兄弟の神たちは因幡(いなば?鳥取県)に住むヤガミヒメと結婚したいと思い、求婚のために因幡に向かいました。
彼らは大国主に袋を背負わせ、荷物運びとして連れて行きました。
気多ノ前(けたのさき?鳥取市)というところまでやって来たとき、毛皮を剥ぎとられて丸裸になったうさぎが倒れているのを見つけました。
兄弟の神たちは、
「この海の塩水に浸かって、風によく当たるように高い山の上で寝そべっていれば治るよ」
とアドバイス。うさぎは言われたとおりにしました。
しかし身体の塩水が乾くにつれて、風に吹かれた皮膚はひび割れてしまったのです。
そりゃもう痛くて苦しくてたまりません。うさぎは泣き伏せってしまいます。
そこへ遅れてやって来た大国主が兎を見つけて、
「どうして泣いてるの?」
と尋ねました。