タケミカヅチは高天原に戻り、地上の国を平定したことを報告しました。
報告を聞いたアマテラスとタカミムスビは、跡継ぎであるアメノオシホミミに命じます。
「今、地上の平定が完了したと報告があったわ。だから、以前に言ったように地上に降りて統治をしなさいね」
しかしアメノオシホミミは、こう答えたのです。
「地上に降りようと準備を整えてたら、子供が生まれたんだ。名前はニニギ(天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命)。地上はこの息子に行かせるよ」
この息子の神はアメノオシホミミが、タカミムスビの娘と結婚して生まれた神で、天火明命(あめのほあかり)がまず生まれ、続いてニニギが生まれたのでした。
結局アメノオシホミミの意見が通り、アマテラスとタカミムスビは、ニニギに向かって、
「この豊かに葦(あし)が生い茂っていて、五百年も千年も秋の稲穂の実りある国は、お前に統治を任せよう。この命令に従い、地上へ降りなさい」
と言ったのでした。