ニニギは笠沙の岬で美麗な女性と出会いました。彼が、
「誰の娘なのだい」
と尋ねたところ、女性は、
「山の神のオオヤマツミ(大山津見?「国生み」にて登場)の娘で、名はコノハナノサクヤビメ(木花之佐久夜毘売)と申します」
と答えました。さらに、
「あなたには兄弟はいるのかい」
と尋ね、コノハナノサクヤビメは、
「イワナガヒメ(石長比売)という姉がおります」
と答えました。
「キミと結婚したいんだ。どう?」
ニニギがこう訊くと、彼女は、
「私の一存では何とも――父のオオヤマツミが答えてくれるでしょう」
と返事しました。
そんなわけでニニギは、オオヤマツミに対して娘との結婚を認めてくれと使者を遣わしました。オオヤマツミは喜んで有頂天になり、姉のイワナガヒメも一緒にもらってくれと、たくさんの結納の品を持たせて差し出したのです。