ワタツミは、アシカの革を何重にも敷き、その上に絹を何重にも敷いた上に山幸彦を座らせました。そしてたくさんの台の上に品物を載せたご馳走でもてなし、すぐさま娘のトヨタマヒメと結婚させたのでした。
山幸彦はその後、三年そこで暮らしたのです。
あるとき、山幸彦は兄の釣り針を探しに来た当初の目的を思い出し、大きく溜息をつきました。
トヨタマヒメはそれを見て、ワタツミに、
「三年一緒に暮らしてきましたが、溜息をつくなんてこれまでなかったのに、今夜は大きな溜息を…何かあったのでしょうか」
と相談しました。
父の神は娘婿に対して、
「今朝、娘が『三年一緒に暮らしてきましたが、溜息をつくなんてこれまでなかったのに、今夜は大きな溜息を』と言ってたのですが、何か理由でも…?
そしてここに来た理由は何なのですか?」
と質問しました。