山幸彦は、釣り針を失くして兄に責められていることを明かします。その話を聞いたワタツミは、海の大きな魚から小さな魚まで全てを集め、
「この中に、かくかくしかじかの釣り針を取った魚は居るか」
と問いました。
すると、たくさんの魚たちが、
「近ごろ赤い鯛が、ノドに何かが刺さって物を食べられないと泣きごとを言っていましたから、きっとその釣り針じゃないかと思います」
と進言したのでした。
赤い鯛を探して、そのノドを見てみれば、やはり釣り針がありました。ワタツミはすぐにノドから摘出して、洗い清めて山幸彦に返しました。