ワタツミは塩盈珠と塩乾珠を山幸彦に手渡し、そしてすぐにサメたちを集めて言いました。
「まもなく高天原の神の子が地上へ向けてご出立になられる。お前たち、何日で彼を送迎できるか?」
皆は自分の体長から何日で往復できるか計算して必要な日数を申し出ましたが、一匹の体長1.5mほどのサメが、
「私は一日で送迎できます」
と答えました。
ワタツミはこのサメに、
「ではお前に送迎を任せよう。くれぐれも山幸彦に恐い思いをさせてはいかんぞ」
と命じ、サメはすぐに山幸彦を首の上に乗せて出発したのでした。