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日期:2018-09-29 20:56  点击:273
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 中沢と隣の席でランチを食べた。
 ミートボールが四つと魚のフライにコールスローが添えてある。別にトマトとレタス、ピーマンにかいわれのサラダ。ひじきとあげとにんじんの煮物。御飯と味噌汁《みそしる》に牛乳。
 ここの昼食は、少しは栄養は考えているみたいだけれど、おいしいかと言われたらどうかなあ。なんか久し振りの学校給食の感じ。
 味なんかに興味ないみたいで、中沢はすごい勢いで食事をする。とにかく早い。中沢が食べ終わってつま楊枝《ようじ》をくわえたときには、ぼくはまだ半分以上残っていた。
 そしたら、伊田さんがお盆を持ってやってきた。女子の一〇〇メートル・ハードルのひと。
 何も言わずに、ぼくたちの向かいにすわった。他にも席はすいてるみたいだったけど。箸《はし》を割りながら、強くウェーブをかけて横に流した髪の下から、ちらっと中沢とぼくを見る。
 伊田さんは中学のころから注目されていた。そのころはハードルはやってなくて、スプリンターとして速かった。
 この前の南関東ブロック大会のときに県の結団式があったり、同じバスに乗ったりしたけど、まあ、ぼくのことは覚えてないだろうなあ。
 急に、中沢が、
「今から食事?」
 って、あんまり当たり前のことを訊《き》いた。ランチのお盆取ってきて、割り箸割って、もう味噌汁を口に含んでいて、食事をしないひとはいない。
 あんまり当たり前だと思ったらしく、伊田さんは完全に無視した。返事もしないし、うなずきもしない。
 それにも全然めげないで、中沢は、
「今日は昨日よりも暑いね」
 と、夏休み学習帳のお天気欄みたいなことを言う。
 声も大きくなった。そりゃあ、ぼくと隣にいて話してたときよりも、伊田さんは向かいにすわってるから遠いといえばいえるけど、食堂中に響きわたるような声。
 そわそわしてる感じなんだけど、中沢は知り合いなのかなあ。いや、こいつなら初対面でも誰とでも話せるんだろう。
 だって、ぼくと初めて話したときが、焼きとうもろこし。
 

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