日语学习网
800-50
日期:2018-09-29 21:07  点击:334
 50
 
 今朝、練習をサボってしまった。
 いや、サボるというような後悔の感覚はない。むしろ、それが不思議だ。走る気がしないから走らなかった。
 自然な感じ。何をするわけでもなく部屋にいる。
 ぼくという装置。
 
 そのまま高校での午後の本練習にも出ないでいたら、山口から電話があった。わかった。そうしよう。行くよ。
 この前とは、別のクラブ。
 山口は常連だったらしい。しばらく来てなかったのだけど、と言う。
 強い酒。
 山口は、自分の吸っていたタバコを、人差し指と中指ではさんで、静かに平行移動させる。ぼくの口に向かって。
 ぼくは、山口の指の間にあるタバコをくわえ、吸い込む。
 最大酸素摂取量に悪い影響を与えるであろう気体が、ぼくの肺の中へ、肺胞の隅々にまでいきわたる。
 一瞬、目の前がクラッとなったぼくに、山口が微笑む。

分享到:

顶部
11/25 04:56