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800-52
日期:2018-09-29 21:08  点击:269
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 妹は、
「ちょっと、楽しみ」
 なんて、昨日の晩から言っていた。
 自分も参加するのが当然だと思っている。
 今日は朝からペディキュアをなおす中学三年生。
 居間のフローリングに新聞の折り込みを広げ、その上に両足を投げ出している。住宅広告の善良そうな親子連れが、妹の形の良いふたつの裸足の下敷きになっている。まっ赤なエナメル。
「お兄ちゃんに友だちができるなんてねえ」
 そんな言い方ってないと思うけれどね。
 中沢から電話があったとき、すぐにぼくは、泳ぎに行こうって答えた。それはなぜだったのだろう。
 友だちがいないわけではもちろんないけれど、たしかにぼくは、あまりつきあいのいい方ではない、っていうのは前から知ってるよね。
 not as usual。
 でも、そんなことを言い出したら、この前、妹と遊びに出たのだって。走るのをサボってしまっているのだって。
 さて、例の命題に逃げ込むことで解決できるのだろうか。ぼくは小さい声でつぶやいてみる。
「ひとの抱く感情やとる行動に、原因、理由なんてない」
 妹は顔を上げるけど、聞こえたわけではないらしい。
 短く口笛を吹く妹。
 ペディキュアを塗り終わったのだ。足をまっすぐ伸ばし、両手を腰のわきの床について乾かしている。なんか新体操のポーズみたいで、バランスがよい。
 そういえば小学校のころ、妹は体操教室に通ってた。結構、長い間、楽しそうにやってたよね。
 同じ時間にぼくは進学塾に行ってて、母親の車がぐるっと回って迎えにきたりしてた。べつに妹の方がいいとも思わなかったな。
 電話。
 きっと、中沢からだ。駅に着いたのだろう。

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