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九月。最初の日曜日。
伊田さんに会うと、今度はすぐにホテルへ行った。
時間がなかったわけではない。ふたりとも練習は休みの日だったから。
でも、すぐにベッドに倒れこんで、ぼくたちはトレーニングをしているみたいだった。似てるよね、陸上競技と。
ここでは、マッサージが先になるけど。
八〇〇メートルみたいに、七〇〇を走ってからの激しいラスト・スパートを、ぼくはかける。ぼくたちは全身の速筋を収縮し弛緩《しかん》させ、また収縮させる。
すべての運動が終了して、ぼくたちは息をととのえる。
でも、すぐにからだの位置を変え、動き出す。こんなのって、インタヴァル・トレーニングみたい。
ぼくにとっては八〇〇メートル×四、伊田さんにとっては一〇〇メートル・ハードル×何本かになるのだろうか。
ぼくたちは、完全に死んだ。
シャワーを浴びる気にさえならなかった。
今日は、駅まで、ほとんどしゃべらないで歩いていって別れた。
激しい練習の日のあとみたいに、からだが充実していた。