いずれにしても、急行�うわじま8号�車中での矢島部長刑事と若い刑事の対話も、新情報を踏まえての捜査本部の分析も、浦上伸介本人とは掛け離れた場所での追跡に過ぎない。
浦上は松山の捜査本部から、JRの営業距離にして九六・九キロ離れた宇和島のホテルにいる。
いまさら、夜の町へ出る気にもなれず、浦上は、独り、ルームサービスの水割りを飲んでいる。
釈然としない状況で飲むウイスキーは、一向に酔いを運んでこなかった。