くいしばる
笑府
姑(しゆうとめ)も嫁(よめ)も後家(ごけ)で、男手なしで暮している家があった。姑は嫁に向っていつも、
「後家というものは、歯をくいしばって暮さなければならんのだよ」
といいきかせていた。ところが、そのうちに姑が男をこしらえた。そこで嫁が、これまでの姑の言葉を引いてなじると、姑は嫁に口をあけて見せて、
「ごらんよ。わたしにはもう、くいしばる歯がないんだよ」






