墓穴
呂氏春秋(審応覧篇)
宋の康王が宰相の唐鞅(とうおう)にいった。
「わしはおおぜいの者を殺したが、臣下どもはいっこうにわしをおそれない。いったい、なぜだろう」
「王が死罪になさったのは、すべて悪い者です。亜い者をいくら殺しても、善い者がおそれるわけはありません。臣下どもをおそれさせるには、善悪の別なく、手あたり次第に罪になさるのが一番です。そうすれば誰もみな、王をおそれるようになりましょう」
それから間もなく、康王は唐鞅を殺した。






