実地検証
笑府
ある男が耳を噛み切られたといって訴え出た。役人が被告を呼んで、
「おまえがあの男の耳を噛み切ったのか」
ときくと、被告は、
「いいえ、わたくしではありません。やつが自分で噛み切ったのです」
という。それをきいた小役人が、役人のうしろで、自分の耳をつまんでぐるぐるとまわりだした。役人がふり向いて、
「こら、場所柄もわきまえず、何をしている」
と叱りつけると、
「はい。実地検証をしております」






