三十而立(にしてたつ)
群居解頤・拊掌録
魏博節度使(ぎはくせつどし)の韓簡(かんかん)は純真素朴な人であった。文人たちと会っても、そのいうことがよくわからないので、内心いつもそれを恥じていた。そこで、ある日思い立って、一人の秀才を招き、『論語』の為政(いせい)篇の講釈をきいた。
その翌日、韓簡は側近の者にいった。
「わしはやっと、古の聖賢が極めて純朴だったということを知ったよ。なにしろ、三十にもなって、はじめて、立って歩くことができたというのだからな」






