夢の中
笑禅録
ある男、夢の中で白布一匹を拾い、しっかりと握りしめていたが、夜が明けると大急ぎで染物屋へ走って行き、
「布を一匹、色染めにしてくれ」
といった。
「どんな布ですか。見せてください」
と染物屋がいうと、男ははっと気づいて、
「しまった! 夢の中に忘れてきた」






