腰掛の足
笑府
田舎ではたいてい、腰掛の足には二股になっている木を使う。
さて、ある家の主人、腰掛の足の片方がこわれたので、下男に山へ行って二股の木を切ってくるようにいいつけた。
下男は斧を持って出て行ったが、なかなかもどってこず、夕方になって手ぶらで帰ってきた。「どうしたんだ」
ときくと、下男のいうには、
「二股になった木はいくらでもあったけど、みんな上向きに二股になっていて、下向きになっているのは一つもなかったもんで……」