お辞儀
笑府
お辞儀の仕方が早すぎるために、よく人の機嫌をそこねる男がいた。友人に、
「胸の中で一月二月と数えて、十二月になったとき頭を上げると、うまくいくよ」
と教えられたので、ある日、道で人に出会ったときそうしてみたところ、頭を上げたときには相手はもういなくなっていた。そこで近くにいた人にたずねた。
「わたしがお辞儀をしていた人、何月に行ってしまいましたか」