飛脚
世説新語(任誕篇)
晋の殷羨(いんせん)が豫章郡の太守になって赴任するとき、都の建康の人々が百箱あまりもの手紙をことづけた。
殷羨は建康の西郊の石頭まで行ったとき、それらの手紙をみな水中へ投げ込み、祝詞(のりと)をあげていった。
「沈むものは勝手に沈め。浮くものは勝手に浮け。殷羨は飛脚にはなれぬ」