小のために大を失う
笑府
ある貪欲な男、道で人が立ちどまったのを見て、
「さては小便をするつもりだな。向いの家の便所でされては損をする」
と思い、急いで向いの家の便所へ行き、大便をするふりをしてしゃがみ込んだ。道に立ちどまった人は男の計算どおり自分の家の便所へはいったので、男は、
「やれやれ、うまくいったわい」
と安心したとたん、おならを一発放ち、つづいて糞を少しばかり出してしまった。そこで男は大いに悔み、
「ああ、小のために大を失ったか!」
となげいた。