俗念
笑禅録・笑府
ある禅師が施主に、俗念をなくするためには坐禅を組んで瞑目するのが最もよいと教えた。ある夜、その人は夜明けまで坐禅を組んでいたところ、はっとあることを思いおこした。そこで妻を呼び起こしていった。
「禅師がわしに坐禅を組むとためになると教えてくれたが、ほんとうにその通りだった。すんでのことで隣りの親父に、大麦一斗を貸したままだまし取られるところだったよ」