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中国笑話集576
日期:2019-07-26 18:31  点击:280
 蛍雪(けいせつ)
 
                                                                       笑府  
 
 東晋の車胤(しやいん)は家が貧しく、灯油を買うことができなかったので、夏の夜は薄絹の袋に数十匹の蛍(ほたる)をいれてその明りで読書をした。孫康(そんこう)も家が貧しく、やはり灯油を買うことができなかったので、冬の夜は雪を積み上げてその明りで読書した。二人はこうして、夜を日についで勉強した甲斐があって、後、出世して車胤は吏部尚書(りぶしようしよ)になり、孫康は御史大夫(ぎよしたいふ)になった。
 ある日、孫康が車胤を訪ねて行ったところ、車胤は家にいなかった。あの勉強家が、と孫康は不審に思い、
「どこへ行かれた?」
 とたずねると、門番が、
「たぶん、蛍を取りに行かれたのかと思います」
 と答えた。
 その後、車胤が答礼のために孫康を訪ねて行ったところ、孫康は庭に出てぼんやりとたたずんでいた。車胤が不審に思って、
「どうして読書をなさらないので?」
 ときくと、孫康はふり返っていった。
「空模様を見ていたのです。このぶんでは雪は降りそうにもありませんな」

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