雷
笑府
ある舅(しゆうと)、婿の頭を試してみようと思い、表の柳の木を指さして、
「あれは何の役に立つと思う」
ときいた。すると婿が、
「あの木が大きくなったら、車の輪も造れます」
と答えたので、舅は、
「世間のやつらは婿を阿呆(あほう)呼ばわりするが、それほどでもないじゃないか」
と思い、うれしそうな顔をした。それを見た婿は、家の中へはいって台所の擂鉢(すりばち)を見ると、
「あの擂鉢が大きくなったら、石臼も造れます」
といった。そのときたまたま姑(しゆうとめ)がぷうっとおならをしたところ、婿はすかさず、
「あのおならが大きくなったら、雷も造れます」